サポート終了などを契機に、オープンソースERP「iDempiere」へ切り替えされたのが2018年4月。その導入過程にはどのような課題があったのか、また現在はどのように運用されているのかご担当者様へお話を伺いました。
DecERP導入事例 「現場」の力を最大限発揮する仕掛けづくり
POINT 事例のポイント
- オフィスコンピュータAS/400からの刷新
- 現行システムの必要機能を棚卸し、最適化を図る
- 業務拡大や変化を見据え、拡張性の高いシステムへ切り替える
課題・ご要望
- オフィスコンピュータAS/400のサポート終了への対策
- 長期利用を続けてきた使い慣れた機能は活かしつつ、さらに拡張性の高いシステムへ切り替えたい
- BCP対策を意識して、クラウド型のシステムへ切り替えたい
導入・効果
- すべての拠点(30拠点)へヒアリングを行い、現場の運用を意識したシステムへ作り変える
- 本番稼動時はトラブル0件、安定稼動を実現する導入フェーズの実行
- 安心・安全なシステムづくり、24時間稼動と緊急時の万全な対策
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PROFILE お客様情報
- ご担当者様:
- IT推進部次長 髙田雄一郎様、課長代理 生田和章様、川井頼之様
1944年に設立後、輸送や事務所移転引越事業、倉庫保管事業を軸に事業展開をしてきた。 基幹業務で積み重ねたノウハウをもとに、顧客のニーズと時代の変化に即応。 現在は物流加工、書類保管、高層ビル内物流のトータルマネジメント、IT機器サポート等のサービスを提供している。
PROBLEM 課題・ご要望
「利用者がストレスなく使えること」を主眼に、安全なシステム切り替えを検討し、選定した
導入に至る経緯を教えていただけますでしょうか。
発端は約20年利用を続けてきたオフィスコンピュータAS/400のサポート終了に伴い、システム刷新を検討したことにあります。また自社で技術者を教育し、継続して利用を続けていく体制を維持することも見直したいということも視野にありました。ほかにも、「クラウド化」の流れを考えて自社にサーバを持たないよう、BCP対策を意識していたことも背景にはありますが、そういった複合的な要素を満たした上で、もっとも重要視したのは「利便性の向上」になります。
利便性の向上が切り替えのテーマとなったのはなぜでしょうか?
もちろん長年利用を続けてきたシステムですので機能面は充足しており、大きく改善したい機能などがあったということではありません。それでも現場の運用を見つめ直しながらよりよい機能が提供されることで利便性が向上することを更改するシステムには期待しました。
そのようにご検討を進められた結果、オープンソースERP「iDempiere」をご採用いただけたのは?
もっとも大きな要因は「コスト」ですかね。現行機能をもちろん踏襲できるということは大前提にありました。(他にもユーザ数に影響しないライセンスフリー(無償)な点や、クラウドへも対応が可能な点)また、提案内容からアジャイル開発で柔軟にシステムを作り上げることができる点も選定したひとつの要因です。
EFFECT 導入・効果
全国各地の拠点、合計30箇所すべてにシステムを切り替えるためのヒアリングを実施、その目的とは
採用決定以降、導入に向けてはどのような動きをされたのでしょうか?
「利用者がストレスなく使える」ためには、現場がどのように受け入れ、システムを利用するのかが非常に重要でした。そのため、非常に多くの時間を現場とのやり取りに費やしました。たとえば、現行の運用をヒアリングすることはもちろん、出来上がったシステムは対面で説明しながら実際に反応を見たり、意見交換を行いました。やはり、現場によりストレスの感じるポイントが違うこともあって、必要なときには担当者に集まってもらい、説明会やセミナーなども開催したりしています。
それはすごいですね。綿密な打ち合わせを進めた結果いかがでしたか?
スケジュール面でいえば、当初の想定よりも大幅に時間がかかることになりました。しかし、「iDempiere」には多くの有益な機能があることもわかっていましたので、現場に必要な機能は最大限効果を発揮できるよう、また展開するうえで混乱が生じてしまうかもしれない機能は二次開発で行うなど現在の運用と十分に照らし合わせて展開することができたのは大きな成果でした。おかげさまで本番稼動の際に懸念していたトラブル発生などは「0件」で終息し、いまなお安定稼動を続けています。
導入後、実際にご担当者様からはどのようなお声が?
まだ、一次開発を終えた段階ではありますがそれでも「当時のシステムではできなかった処理ができるようになった!」、「月末の締め処理が一括で対応できる部分が増え、業務負担が解消された。」など、評判は良好です。また、管理者視点では回線やルーターのトラブルなどがあると以前であれば利用停止を余儀なくされていましたが、現在は緊急時対応として一部制限解除を行う必要はありますが、迅速に復旧できる仕組みを持ち合わせていることは安心しています。ほかにもドットプリンタからレーザープリンタに変更したことで用紙代などTCO削減にもつながり満足しています。
FUTURE 今後の展望
「安定稼動」から「機能の充実」へシフト
最後に今後の展望をお聞かせいただけますでしょうか?
一次開発を無事に安定稼動することができましたので、これまで同様カコムスとも密に連携を取りながらさらに機能面で充実を図りたいと考えています。たとえば、利用を続けていく中で気づくシステムの制約などもありますし、「十分に理解して使いこなす」というところまで至っていないのが現状でもあります。そのようなところをサポートしてもらえると非常に助かります。また、これまで同様にカコムスとは「一緒にシステムを作り上げる」ためにどうすべきか意見を出し合いながらもっと現場の声を反映した良いシステムをつくりたいと感じています。引き続きよろしくお願いしますね。
担当より一言
配属されて初めて本格的に機能開発に携わったお客様となり、知識も技術も欠けている部分が多いなか、ご迷惑をおかけしながらも最終的には良い結果をいただくことが出来て大変うれしく思います。今後も新しい機能やシステムの提案をさせて頂くことになると思いますが、こちらもご満足いただけるシステムを提供できるよう尽力してまいります。