「Joy for Life® -食で未来によろこびを-」をビジョンに掲げ、家庭用油脂・業務用油脂を広く取り扱う株式会社J-オイルミルズ様。中期経営計画で掲げた「将来への成長基盤強化」の実現に向け、業績管理や販売管理、生産管理など、基幹業務の業務プロセスとシステムを刷新されました。社内システムの大規模刷新に至った課題と導入の効果、今後の展望について、導入を担当された澤田様・塚原様にお話を伺いました。
Microsoft 365・Power BI・DWH導入事例 DX推進の礎となる基幹システムの刷新とデータ活用基盤の構築
POINT 事例のポイント
- 「変革と成長」を実現する基幹システムの構築
- 機能別のソリューションを繋ぎ、データ活用を促進するためのDWHとPower BI構築
課題・ご要望
- 基幹システムの刷新
- 将来への成長基盤強化に繋がる生産性向上の実現
- 大規模刷新に伴う現場影響の抑制
導入・効果
- 高付加価値を目指したデータ活用基盤の整備
- 決算期間短縮や予測精度の向上
DWH構築・Power BIに関するお問い合わせ
PROFILE お客様情報
- ご担当者様:
- 情報システム部 部長 澤田 光司 様、情報システム部 マネージャー 塚原 晃勇 様
株式会社J-オイルミルズは「Joy for Life® -食で未来によろこびを-」を私たちの目指すべき未来として企業理念体系に掲げています。この企業理念体系に基づきコミュニケーションブランド「JOYL」を導入し、ステークホルダーの皆さまと緊密なコミュニケーションを図るとともに、「おいしさ×健康×低負荷」を具体化した製品の導入を推進しています。
PROBLEM 課題・ご要望
基幹システムの刷新を進められた背景は何だったのでしょうか?
澤田)弊社は2004年に味の素製油、ホーネンコーポレーション、吉原製油の3社が合併して生まれた会社です。その際に会計システムだけは新しくSAPを導入していたのですが、その後抜本的なシステム構築を行っていませんでした。
また、業績管理システムや生産管理システムなど、合併前の各社で利用していたシステムを繋ぎ合わせる形で使っているものも多く、コード体系が統一されていないために都度変換が発生したり、各部署でExcelを回覧しつつ計画を策定していたり、予算に正確な在庫を反映出来ていなかったりなど、業務プロセスにおいて全社的な生産性向上の足かせにもなりつつある状態にありました。
そこで、「変革と成長」をスローガンに、10年後を見据え様々なビジネス環境の変化にも適応可能となるよう、基幹システムの再構築プロジェクトが発足しました。
販売管理の標準化や決算の早期化など、経営体質向上を目指すための具体的な改革テーマを定め、それを実現するためのIT基盤づくりを目指しました。
基幹システム刷新にあたっての基本方針としては、高額となるSAP等の統合ERPパッケージではなく、ESB基盤(※1)を活用して、機能ごとに最適なソリューションを組み合わせることにしました。
さらに、それらソリューション間での情報共有と活用を促進するためDWH(データウェアハウス)を構築し、蓄積された情報を活用するツールとしてPower BIを導入する想定で、業者選定に入りました。
※1:Enterprise Service Busの略。ソリューション同士を連携させる基盤。
カコムスにご依頼いただいた決め手は何でしょうか?
澤田)結論から申し上げますと、弊社の予算内で実現可能なご提案をいただいた点が主な理由です。
貴社にご相談する以前に他のベンダーと要件定義を進めていたのですが、最終的にいただいた見積もりが当社の想定を大きく上回るものでした。そのため一度は基幹システム刷新の取り止めという意見も出たのですが、私の経験上予算内で十分に対応できるはずであると認識していましたので、改めてベンダーを選定することにしました。
貴社にはベンダーの再選定の際にお声がけさせていただきました。前職時代にお付き合いがあった担当者に連絡をとったところ、弊社が希望する要件に対し予算内で収まるご提案をいただいたため、お願いすることになった次第です。
ご提案の中で高く評価できたポイントはございますでしょうか?
澤田)弊社は3社が合併した会社であるため、業務システムの関係が非常に複雑です。そうした事情を理解していただいた上で最適なシステムを提案してくれましたので、大変安心できました。
特に業績管理・販売管理において、プライマル社のBizForecastをご提案いただけたことも大きかったです。今まで各部門ではそれぞれのデータをExcelで管理していました。そのためUIが異なるシステムを導入すると現場に混乱を招くおそれがあったのですが、BizForecastのExcelライクなUIを活用することで混乱なくスムーズな導入が期待できました。
またBIツールについては、社内での検討によりPower BIを選定していましたが、導入自体は当初のRFPではスコープ外にしておりました。しかし打合せの中で、貴社がPower BIの実績も豊富だとお聞きして、併せてお願いすることができました。
EFFECT 導入・効果
基幹システムを刷新した結果、どのような効果がありましたでしょうか?
澤田)今回のプロジェクトはSTEP1で業績管理・販売管理システムの再構築、STEP2で生産管理・原価管理システムの再構築、STEP3で会計システムの再構築と、大きく3段階に分けて進めており、現時点ではSTEP1が完了し、STEP2、STEP3に着手している段階です。
現状、当初目標の1つとしていた月次決算日程が8⇒5営業日へ短縮できたこと以外にも、予算や見込策定業務の標準・効率化、データ活用度向上の効果があがっています。 また、6ヶ月先の予測数値が見える様になり、事業課題に対して効果的な先手を打つことが可能になりました。 具体的には弊社の意思決定の中でも特に重要な原料調達フェーズにおいては、この予測数値を活用する運用が既に始まっています。
現在進行中のSTEP2/3についても引き続き経営層や事業責任層を巻き込み、プロジェクトの推進と更なる効果獲得を目指します。
全社規模の刷新となりましたが、導入に伴う課題は何かございましたでしょうか?
澤田)全社規模ということもあり、部門を跨ぐ要件の整理に苦労しました。また、そうして整理した要件を事前に現場レベルまで十分に落とし込むことができず、導入直後は少なからず混乱の声が聞こえました。STEP1を終えた感触として、現場への落とし込みも含め、各事業責任者をいかに巻き込むか、というところが大事であると痛感しています。IT基盤を整えたとしても、事業責任者の強いリーダーシップが無いと、現場レベルでの変革を推進していくことは困難です。改めて事業責任者の思いを丁寧に聞きながら必要な施策を実施しています。
また、社内全体への啓発という点も課題です。弊社は全社員がiPhoneで販売や在庫の状況を見られるようになっていますが、利用率はまだ高くありません。この点は今後STEP2、STEP3と進む中で認知も広がっていくと思いますので、根気強く浸透させていきたいと思っています。
塚原)現場の要望を吸い上げる部分に難しさを感じています。形になるまでイメージが掴めないところもあるのだと思いますが、実際に出来上がったものを見た後に要望をいただくケースが多いので、事前に欲しいデータや、やりたいことを共有してもらえるように、我々も現場をもっと巻き込んでいきたいと考えています。
FUTURE 今後の展望
基幹システムの刷新を経た上での今後の展望を教えてください。
澤田)変革のためのDX戦略の議論を役員と一緒に進めています。弊社の事業は更なる高付加価値事業に変わっていく必要があると考えています。中期経営計画で掲げている「将来への成長基盤強化」を実現するにはデジタル技術を使った改革が必要不可欠であることは間違いありません。情報技術の進化が進んでいる中で、どんなデジタル技術を使ってどんな改革を行うのかをトップのリーダーシップの下、現場も含め高いレベルでの議論を重ねていきたいと考えています。
また、今回Power BIレポート作成について、データ量も多い中貴社には非常に頑張っていただきました。しかしこれに関しては完成形があるものではありませんので、引き続き粘り強く改善しながら、全社員がもっとデータを活用して仕事ができる環境や風土を構築していきたいと考えています。
今後カコムスに期待したいこと、もっと頑張って欲しいことはありますか?
塚原)貴社にはいろいろご要望をお伝えしてきましたが、現在進行中のSTEP2/3も含め、一度も「ダメです」「できません」と言われたことはありません。まずは受け取っていただき、検討した結果をご提示いただくという流れを一貫していただいていますので、非常に信頼感があります。またご提案内容もフレキシブルに対応していただいていると感じていますので、良い会社さんにお願いできてよかったと思っています。
澤田)このプロジェクトは本年度末で一度総括をしますが、その後は今回刷新した環境で成果を上げていく、新しい挑戦をしていくというフェーズとなります。今後も貴社には良いご提案を継続してお願いしたいです。大変なプロジェクトだと思いますが非常によく頑張っていただきましたので、今後も一緒に新しいことに取り組んでいけたらと考えています。
また、弊社は今後もDXを推し進めてまいります。弊社の理想実現に繋がるご提案は大歓迎ですので、ぜひまた柔軟な発想と確かな技術でお力添えいただけますと幸いです。
担当より一言
10年先の未来を見据え、様々なビジネス環境の変化に適応するための基幹システム刷新を、スピード感のある意思決定と高い推進力で牽引していただき、心より感謝申し上げます。弊社が対応させていただきましたDWHやBIに関連するデータの分野は、昨今の生成AIの進化とともに、ますます重要性が高まる領域であると認識しております。今後、各企業はデータをいかに競争上の優位性に変えていくかがポイントになると考えています。弊社としても、この分野において貴社に貢献できるよう、引き続き努めてまいりますので、今後ともよろしくお願い申し上げます。