【ITコンサルタントがおくるDX推進コラム-空を仰げば-】
第14回:DXの第一歩は「ムダ」の可視化から! 業務フロー図作成のすすめ

第14回:DXの第一歩は「ムダ」の可視化から!業務フロー図作成のすすめ

いつもお世話になっております。IT コンサルティングサービス部の空井(ソライ)と申します。
DX関連の情報をお伝えさせて頂くコーナーです。今回は 14 回目。
皆様のDX推進の気付きになれば幸いです。

みなさん「うちの部署もDXが必要だ」と頭ではわかっていても、何から手をつければ良いのか途方に暮れていないでしょうか?
バックオフィス部門のDX推進において、最も重要な第一歩は、実は特別なITツールを導入することではありません。
それは、日々の業務に潜む「ムダ」を徹底的に可視化することなのです。

長年培われた業務フローの中には、「なんとなく」で続いている非効率な業務や、
特定の担当者しか知らない属人化された作業が山積していることが少なくありません。
これらを放置したままDXを進めても、期待する効果は得られにくいでしょう。
まずは業務フロー図を描き、現状の業務を誰が見てもわかるように可視化しましょう。

■業務フロー図を描く~「ムダ」の可視化~:具体的な5ステップ
「業務フロー図なんて描いたことがない」という方もご安心ください。難しい専門知識は不要です。
以下の5つのステップで、現状の業務フローを「見える化」しましょう。

●ステップ1:対象業務と範囲を決める
まずは、どの業務のフローを描くかを明確にします。
例えば、「経費精算業務」「請求書発行業務」など、具体的な業務単位で区切るのがおすすめです。
また、その業務が「どこから始まり、どこで終わるのか」という範囲も決めましょう。

●ステップ2:担当部署、担当者、ITシステム・ツールの洗い出し
対象業務に携わる部署や担当者を、全て洗い出しましょう。
また業務で使用しているITシステム・ツール(Excel等も含む)も、洗い出しましょう。

●ステップ3:情報の洗い出し
対象業務の中で取り扱う書類や電子データ情報を洗い出します。
例えば、「経費精算業務」の場合、「経費申請書(紙)」「レシート・領収書(紙)」「ECサイトの領収書データ」「会計システムの経費データ」などです。

●ステップ4:タスクを洗い出し、時系列に並べる
次に、対象業務に含まれるすべてのタスク(作業)を細かく洗い出します。
例えば、「領収書を受け取る」「申請書を作成する」「上司に承認を依頼する」「システムに入力する」「振込処理を行う」などです。
洗い出したら、それらを業務の流れに沿って、時系列に並べ替えていきます。
この際、「誰が」「何のために」「どんな情報(書類やデータ)を使って」そのタスクを行っているのか、具体的に書き出してみましょう。

特に重要なのは「何のために」、つまり業務の目的を書き出すことです。
バックオフィス部門の業務は、「ミスなく」「滞りなく」こなすことが優先され、
積極的に業務の目的や意義を問い直す機会が失われやすい傾向にあります。
そのため、目的が曖昧なまま継続されている業務が残っている場合があるのです。

●ステップ5:図形と矢印で「見える化」する
洗い出したタスクを、簡単な図形と矢印で表現します。
例えば、四角形は「処理(タスク)」、ひし形は「判断(Yes/No)」、楕円は「開始/終了」など、基本的な記号で十分です。
これらの図形を矢印で結び、業務の流れを示します。

ポイント1:部署・担当者ごとのレーン分け
図の中に、担当部署や担当者ごとの「レーン(スイムレーン)」を設定すると、業務がどの部署間を行き来しているのか、誰がボトルネックになっているのかが一目でわかります。

ポイント2:現実に即して描く
「本来こうあるべき」ではなく、「今はこうなっている」という現状を正確に表現することが重要です。
たとえ非効率な部分であっても、正直に、漏れなく描き出しましょう。

ポイント3:ツールは問わない
手書きのメモ、Excelの図形機能、PowerPointなど、使い慣れたもので構いません。
作成後も、更新・メンテナンスすることを考慮し、みなさんが使いやすいツールで作成しましょう。

業務フロー図が完成したら、ぜひ複数の人(視点)で眺めてみましょう。目的が不明瞭な箇所、ムダと思われる箇所がきっと見えてくるはずです。
この「ムダの可視化」こそが、RPAやAIなどのITツールを導入する際のヒントとなり、DXを成功させるための羅針盤となります。
さあ、御社のバックオフィスに眠る「ムダ」を掘り起こし、効率化への第一歩を踏み出しましょう。
配信日:2025年6月3日

空井 達也 / Tatsuya Sorai
応用情報技術者

大手電機メーカーのグループ子会社にて、人事・総務・経理・法務などの管理部門業務に約20年間従事。 給与計算・社会保険の実務を経験し、管理部門業務のプロセス改善やシステム化による改善を実施。 2015年にカコムス株式会社へ入社し、経営管理部の責任者として管理部門全般を統括。 その後品質保証室にてマネジメントシステム (ISMS、PMSなど) の運用改善を推進し、2019年より IT コンサルティング案件に従事。

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