【カコムスSEが書く「明日から役立つ」ITコラム】
スモールスタートから始める、社内サーバーの安全なクラウド移行

スモールスタートから始める、社内サーバーの安全なクラウド移行
~第1回:クラウドの基本とオンプレミスとの違いを知る~

はじめに:そのサーバー、いつまで使い続けますか?

デジタルトランスフォーメーション(DX)の波が押し寄せる中、社内サーバーの入れ替えや増設のタイミングで「クラウド移行」を検討する企業が増えています。

一方で、
「今あるサーバーで問題なく動いているし…」
「クラウドって、セキュリティは本当に大丈夫?」
「料金体系が複雑そうで、逆にコストがかさみそう…」
といった声も多く、従来通りのオンプレミス環境を継続する企業も少なくありません。

「クラウド」という言葉に、漠然とした不安を感じるのは自然なことです。
しかし、適切な戦略と段階的なアプローチさえ取れば、クラウド移行はIT運用の効率を飛躍的に高め、コスト削減と安全性の両立を実現できる、強力な選択肢となります。

本コラムでは、Microsoft Azureを活用した実践的なクラウド移行戦略を、ローコスト・ローリスクで始める方法と共に数回に分けてご紹介します。ぜひ、貴社のIT戦略のヒントとしてご一読ください。

なぜ今、「クラウド化」が急務なのか?

現代のビジネス環境は、変化の連続です。

・市場や顧客ニーズの目まぐるしい変化
・予測困難な国際情勢や経済環境
・テレワークをはじめとする多様な働き方への対応
・AIなど、ビジネスを根幹から変える新技術の台頭

こうした変化に迅速かつ柔軟に対応するため、多くの企業で“クラウドファースト”という考え方が浸透しています。これは、新しいITシステムを導入する際に、まずクラウドを検討することで、ビジネスの俊敏性や拡張性を確保しようとするアプローチです。ITインフラの分野で、今まさにクラウドが選ばれているのには明確な理由があります。

クラウド移行がもたらす4つの大きなメリット

なぜ多くの企業がクラウドを選ぶのでしょうか。主な理由を4つご紹介します。

1.インフラ管理の負担からの解放

オンプレミスサーバーの運用には、多大な手間と時間がかかります。

・リソース(CPU・メモリ等)の常時監視
・セキュリティパッチの適用やウイルス対策ソフトの更新
・OSやソフトウェアの定期的なアップデート作業
・ハードウェア故障時の緊急対応やベンダーとの調整

これらは全て、自社のIT担当者が担う必要があります。クラウドを利用すれば、こうした運用の大部分をクラウド事業者に任せることが可能です。その結果として、担当者は本来注力すべきコア業務に集中できるようになります。

2.「隠れコスト」を削減し、IT予算を最適化

クラウドの場合は、利用した分だけ支払う従量課金制が基本です。高額なサーバー機器の購入といった初期投資が不要なだけでなく、サーバーを維持するための保守費用を始めとし、電気代、冷却のための空調費、設置スペースといった「隠れたコスト」も削減できます。
さらに、数年ごとに発生するハードウェアの買い替え(リプレース)にかかる莫大なコストと作業からも解放されます。

3.ビジネスの成長に即座に対応できる柔軟性

ビジネスの状況に応じて、急なアクセス増や利用者増が発生することは珍しくありません。クラウドなら、管理画面から数クリックするだけで、CPU・メモリ・ストレージなどのリソースを柔軟に変更させることが可能です。
物理サーバーのように、機器の追加購入や設置スペースの確保に頭を悩ませる必要はなく、ビジネスの成長スピードをITインフラが妨げることはありません。

4.高度なセキュリティと災害対策(BCP)

サーバーやデータは「自社で管理する方が安全」と思われがちですが、実はクラウドの方が高いセキュリティレベルを実現しやすいケースが多くあります。専門家が24時間365日体制で監視する堅牢なデータセンターで管理されており、アクセス制限や通信の暗号化など、最新のセキュリティ対策が標準で提供されています。

また、地震や停電といった災害時にも事業を継続するためのBCP(事業継続計画)対策としても非常に有効です。Microsoft Azureの場合、データは複数拠点で冗長化(二重、三重にバックアップ)されており、万が一の際にもデータやサービスを守る仕組みが整っています。

知っておきたい、クラウド移行の注意点

「クラウド化を検討したけど、自分達の環境には合わなかった…」
多くのメリットがある一方、全ての状況でクラウドが万能というわけではありません。移行を検討する際には、以下の点に注意が必要です。

1.既存システムとの連携が難しいケース

長年利用している独自開発の業務システムや、特殊な仕様のパッケージソフトは、クラウド環境との互換性に課題が生じる場合があります。クラウド移行を進める前には、既存システムの構成要件がクラウドに対応しているか、専門家による事前のアセスメント(評価・調査)が不可欠です。

2.極端に細かいカスタマイズが求められる場合

クラウドは事業者が用意した標準的な環境の中から構成を選ぶのが基本です。そのため、サーバー機器のメーカーやOSのバージョン、ネットワーク機器などをミリ単位で細かく調整したい、といった要件がある場合は、自由に機器を選定できるオンプレミスに軍配が上がります。

【比較表】クラウド vs オンプレミス

まとめ:いきなり全てを移行しなくてOK!まずは「バックアップ」から始めてみませんか?

ここまで、クラウドの基本的な特徴とオンプレミスとの違いをご紹介しました。
クラウド移行が企業にもたらすメリットは大きいものの、「やはり、いきなり全面移行するのは不安だ」と感じた方もいらっしゃるかもしれません。

そんな方にこそお勧めしたいのが、まずは「データのバックアップ先」としてクラウドを利用してみる、というアプローチです。
現在の社内サーバーはそのままに、データの保管場所だけをクラウドに切り替えることで、低コスト・低リスクでクラウドのメリットを体感できます。

次回は、Microsoft Azureのバックアップサービスを活用して、この「はじめの一歩」を具体的にどう進めるのかを解説します。

【次回予告】

スモールスタートから始める、社内サーバーの安全なクラウド移行
~第2回:「Azure Backup」で始める、安心・簡単なクラウド移行の第一歩~

配信日:2025年7月31日

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