【カコムスSEが書く「明日から役立つ」ITコラム】
仮想社員を作り出すことはできるのか
~第1回:仮想社員を作れる「AIエージェント」とは~

仮想社員を作り出すことはできるのか
~第1回:仮想社員を作れる「AIエージェント」とは~

はじめに

仕事をしていると、時間や知識、視点の限界に直面する場面がありますよね・・・。
AIエージェントは、そうした不足を補い、判断の質を高めてくれる存在です。

私はこのAIエージェントを「仮想社員」 と呼んでいます。

このコラムでは、Python×Azure OpenAIを使って簡易的にAIエージェントを作成していきます。 満足度・学び・今後の展望も垣間見えるチャレンジになりましたので、ぜひ最後までご覧ください! 読み終わるころには、あなたもAIをもっと身近に感じられると思います♪

※本記事は、Pythonやクラウドサービスの基本操作に慣れている開発経験者向けの内容です。
ご経験がない方も「AIエージェントの可能性」を知る参考としてご覧いただけます。

AIエージェントとは

今回のテーマである「AIエージェント」とは皆さんが馴染みのある生成AIと違い、指示を待つだけじゃなく、 役割を持ち、状況を見て、やるべきことを判断し、実行できる、「自立型のAI」を意味します。
特に「マルチエージェントシステム」は、オーケストレーターといわれるエージェントが与えられた役割(ゴール)に対し、それを遂行するための計画を立てます。そして別のエージェントにタスクを振り分け、進捗を管理することで、チームで仕事を完了する事ができます。
これってまるで、人間みたいですね!!


AIエージェントは、実際にどうやって導入すればいいのでしょうか?
簡単なスクリプトを作って仕事を任せてみたいと思います!

週報をチェックしてアドバイスをするAIエージェント(簡易版)を作ってみる

AIエージェントを作るということを端的にいうと、AIがどんな人となりで、どんな役割(ゴール)なのかを定義し、それを演じ・遂行させるという事です。そのため驚く事に、ペルソナをどう設定するかによって出力の質・粒度・視点が違ってくるのです。

今回は、週報データから、状況の分類・アドバイスしてくれるAIエージェントを作ってみます。


ペルソナ

  • IT業界15年目のあらゆる死線を潜り抜けてきた敏腕プロジェクトマネージャー
  • 日本語話者で話し方はやさしく寄り添う話し方
  • メンバーの状況を把握し成長につなげるフィードバックができる
  • しっかり褒めるが指摘があれば優しく的確に伝える

役割

  • 週報(csv)を確認する
  • 案件のステータス(順調かどうか)を判断する
  • 実務に活かせるフィードバックを生成する
  • 生成したステータスとコメントをcsvに追加する

ペルソナ・役割が決まったら、Python+Azure OpenAIを使って実装していきます。 週報データとPythonスクリプトは生成AI(皆さんおなじみのChatGPT)を使って作ってもらいました。
※ちなみに10秒もかかりませんでした。(これもAIのチカラですね!)

出力されたコメントをチェック

プログラムを実行すると、週報データに対して、AIエージェントがコメント・ステータスを追加した、「ai_feedback_log.json」ファイルが生成されました!
↓↓↓↓実際に出力されているコメントを見ると、「代替案の検討を進めている点もすばらしい」など、褒めてモチベーションを高めるコメントをしつつ、「ベンダーからの回答が遅れる可能性」といったリスクを検知して次のアクションを提示してくれていますね!

最初に言っていた「ペルソナの設定によって性能が変わる」というのが本当か、気になるのではないでしょうか?ペルソナを「週報チェック係」だけにして試してみましょう!


ペルソナ

  • 週報チェック係

役割

  • 敏腕プロジェクトマネージャーと同じ

う~~~ん、「良い取り組みです」と褒めてはくれていますが、モチベーションが上がるコメントは、敏腕PMのコメントですね。「ベンダーの回答を早める努力が必要」という言い方も上から目線に感じます。
さらに気になるのが、ステータスの判断が敏腕PMと違うところです。

情報が少ないからブレが出るのかなと思ったのですが、何度試してもコメントは微妙に変わるものの、この違いはいつも同じなのです。ペルソナの違いで判断が違うというのは、とても興味深いですね。マルチエージェントにすると、複数のペルソナを持つAIエージェント同士で議論して結論を出すこともできるのですが・・・
この報告、みなさんならどう判断しますか?順調・・・?注意・・・?

やってみて 良かったこと・今後の課題

今回は簡易的なAIエージェントでしたが、満足のいく結果となりました!書かれていない部分への考慮ができるところ等、私も見習いたいと感心しました!

ただ、人と違って、社員の性格や目標等の背景知識が無いという部分は、課題と感じました。この課題に対しては、社内のナレッジやメンバーの性格・目標等のデータを参照させる仕組みを取り入れれば、さらに精度を上げることができます。

おわりに

今回はスクリプトでタスクを与える形でしたが、AIエージェントは本来、自分で手順を考え、動き続ける事ができるものです。今回、AIが作ったスクリプトを使って実現したことで、その“自走するAI”の可能性を感じることができました。

一方で、AIが完全に自走し、人の判断を完全に代替する未来にはセキュリティや統制の面など、現実的な課題が残っているのも事実です。
実践場面では、人が方向性を定め、その中でAIが力を発揮する “半自走型”として構築することが最適と考えています。AIエージェントを安全に使いながら、共に働く未来がもうそこまできているのではないでしょうか。

検証の軌跡


配信日:2025年12月24日

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