【BIコンサルタントが語るコンサルコラム】
第52回:想像力を働かせるには

第52回:想像力を働かせるには

いつもお世話になっております。IT コンサルティングサービス部の長榮(ナガエ)と申します。
システム構築・IT・業務改善・業務改革に関する情報や、業務において日々感じていることを、
この場をお借りしてお話しするコーナーです。今回は 52 回目。

かつて業務を共にした愛すべき先輩は、開発したプログラムを「この子」「その子」と呼び、 まるで人格が宿っているかのように扱っていました。
エラーの調査中も、私が「この処理が悪さをしてるんじゃないですかね?」と尋ねると、 「いえ、その子はちゃんと仕事していますよ。もっと周りの子たちも見てあげましょう。」と。
プログラマーというより、子どもの気持ちを理解しようとする親のようでした。

「人の気持ちを考えよう」「登場人物の心情を考えましょう」と、国語の授業で先生に促されました。
目を閉じて物語の中に入り込み、「その人物になりきって」考える時間でした。
学習指導要領 (中学校第1学年 国語) の「読むこと」の項目には、以下のような一節があります。

「(1) 読むことに関する次の事項を身に付けることができるよう指導する。
ア 文章の中心的な部分と付加的な部分、事実と意見との関係などについて叙述を基に捉え、
要旨を把握すること。
イ 場面の展開や登場人物の相互関係、心情の変化などについて、描写を基に捉えること。
ウ 目的に応じて必要な情報に着目して要約したり、場面と場面、場面と描写などを結び付け
たりして、内容を解釈すること。」
― 出典:中学校 学習指導要領 平成29年3月告示

「先生っ!そんなん、作者に聞いてみなわからんやん!」
当時、そんな茶々を入れる子もいましたよね。
その子の言い分も「まぁ、間違ってはいないよな…」と思います。でも、作者本人に聞けないからこそ、 私たちは「想像する」しかないのです。

実は、普段の業務でも同じことをしています。
・上司なら、この報告を受けて次に誰へ説明する必要があるかを考えるかもしれない。
・顧客担当者なら、この資料をそのまま社内会議で使えるかを見るのではないか。
・経営者なら、この提案が 3 年後の利益にどう直結するかを問うだろう。
・IT担当者なら、このシステムが深夜に止まった時にどうリカバリするのかを突いてくるだろう。

「想像する」とは、視点を移動させながら、他人の行動や思考を理解しようとすることだと思います。
立場を変えると、それまで見えていなかったものが見えてくることがあります。

ただし、この想像力には「材料」が必要です。
知識がなければ背景を想像することができず、経験がなければ状況を立体的に捉えることができません。
相手の業種・業界、企業規模、組織の文化、人間関係、今年度の目標、背負っているプレッシャーまで。
そうした文脈の蓄積が、想像力の精度を上げていくのだと思います。読書も対話も現場での泥臭い経験も、 すべてはその「材料」を増やすための行為であると考えています。
以前のコラム(※第49回参照)でも触れた、「理想を集めておくこと」も同じことです。

「なぜこの人はこう言ったのか」
「なぜこの判断をしたのか」
「この人は、どの立場で話しているのか」
……

このように問い続けることが、いくつもの「他人の視点」を持つための訓練になります。

さて、冒頭のエラー調査の結末ですが…。
「長榮さん、わかりましたよ。悪さをしているのはコイツです。」
「なるほど~。”この子”ではなく、”コイツ”なんですね。」

あなたは今、このコラムをどの視点から読んでいますか?

配信日:2026年3月26日

長榮 智和 / Tomokazu Nagae
ITストラテジスト / プロジェクトマネージャ / システムアーキテクト / PMP

2002年新卒入社。大手電機メーカー様の業務に長年従事。要件定義から開発/導入/運用/再構築と各フェーズを経験。 後半の10年程は、SCM・PSI領域の見える化(BI)業務にて PM・IT企画構想担当。中国(蘇州)・インドネシア(ジャカルタ)への海外出張も経験。 現在は、BI・IT コンサルタントとして、業務整理・業務改善・データ可視化などに携わっている。

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