【BIコンサルタントが語るコンサルコラム】
第45回:期限を表明せよ

第45回:期限を表明せよ
いつもお世話になっております。IT コンサルティングサービス部の長榮(ナガエ)と申します。
システム構築・IT・業務改善・業務改革に関する情報や、業務において日々感じていることを、
この場をお借りしてお話しさせて頂くコーナーです。今回は 45 回目。
昔のことですが、「納期に追われるのは嫌です。納期の無い仕事がしたいです。」と呟いていた若者がいました。
残念ながら、それはもう「仕事」とは言えない気がします。常に「いつまでに」が伴いますから。
お客様から「6ヶ月先か?1年後か?3年掛かるか? いつ出来るんやそれ」や「結局いつ終わるんや?」などと、
完成予定や終了見込みを問われる場面が数多くあります。そんな時に思い出すのは、スティーブ・マコネルさん。
技術的な選択肢やトレードオフを踏まえて、現実的な落としどころを探る技術者の立場を端的に示しています。
「あなたにとって最も強力な交渉の味方は、見積りではない。
それは、技術的な知識を持たないステークホルダーたちが絶対に知る術のない計画の代替案を導き出す能力だ。
あなたは技術的な知識の鍵を持っている。それゆえ、他の誰よりも創造的な解決策を生み出す責任を負う。
あらゆる種類の可能性とトレードオフを提案するのは、あなたの役割だ。」
― 出典:ソフトウェア見積り – 人月の暗黙知を解き明かす –
― スティーブ・マコネル (著)
ただ、ここで終わってしまう技術者も少なくありません。「選択肢は出した。あとは決めてくれ。」と言ってしまう。
でも、「いつまでに」を自分で決め、口にすることも必要だと思うのです。
技術的な知見を持っているからこそ、現実的な期限を提示できるのは、技術者しかいないのですから。
「方針を検討中です」「課題として認識しています」「技術的には問題ありません」「設定変更で対応します」など、
無機質で誰の意思も感じられない説明や状態報告はスムーズに口に出せるのに、「いつ終わるのか」「いつ出せるのか」
といった人の決断と責任が必要な「腹をくくった発言」になると、途端にまごつくのは何故なのでしょうか?
おそらく、「外したらどうしよう」「怒られたら嫌だ」「責任は取りたくない」というリスク回避の心理が
働いているからではないでしょうか。一度口にした期限は、たとえ仮のつもりであっても「約束」として
一人歩きすることがあります。「言質を取られたくない」という気持ちが、言葉を曖昧にさせるのです。
「今週中にはドラフト版を提示できます」「月末には完成します」と具体的な期限を表明するには勇気が要ります。
突発的な要件が入るかもしれないし、トラブル対応に追われるかもしれない。最悪の場合は期限に間に合わず、
謝罪や延期の申し入れをしなければならないかもしれません。築き上げた信頼・関係性を壊してしまうかも…と。
それでも「この日までにやる」と言い切ってみる。完璧じゃなくてもいいんです。
そうすると、不思議と物事が少しずつ動き出すことって、あるんですよね。
逆に、期限を言わない、決めないという行為は、周囲の判断・調整・予定・段取りを宙に浮かせてしまいます。
スケジュールが曖昧なままでは、関連タスクは止まり、優先度の高低も判別できず、プロジェクトや組織が、
“待ち” や “一時停止” に陥ってしまいます。
例えば「検討中です」という言葉には、意図的か無意識かは別として、無期限の猶予が含まれています。
ですが、「来週中に方向性を出します」と一言添えるだけで、相手は「では、それまで他の作業を進めよう」
「レビュー日程を調整しよう」といった前向きな動きを取れるようになります。未確定な部分があっても、
大枠の予定を伝えるだけで、周囲との連携が取れて、仕事全体の流れが見えてくるのです。
結局、「自分の手で線を引く」という行為は、どこか腰が引けてしまうものだと思います。正直、ビビります。
あえて期限を曖昧にすることで、判断を下す怖さから、無意識に逃げてしまっているのかもしれません。
ですが、「判断や決断も専門性の一部」であり、むしろ、それも含めて私たちの仕事だと思うのです。
配信日:2025年7月24日
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