【BIコンサルタントが語るコンサルコラム】
第44回:意識しておくべき数字たち

第44回:意識しておくべき数字たち
いつもお世話になっております。IT コンサルティングサービス部の長榮(ナガエ)と申します。
システム構築・IT・業務改善・業務改革に関する情報や、業務において日々感じていることを、
この場をお借りしてお話しさせて頂くコーナーです。今回は 44 回目。
組織の人数が 150 人を超えたあたりから、「阿吽の呼吸」や「暗黙の了解」が効かなくなり、
「誰に話したらいいか分からない」「言った・言わない問題」が頻発し始めるようです。
ユヴァル・ノア・ハラリの『サピエンス全史』には、次のような一節があります。
「 認知革命の結果、ホモ・サピエンスは噂話の助けを得て、より大きくて安定した集団を形成した。
だが、噂話にも自ずと限界がある。社会学の研究からは、噂話によってまとまっている集団の
「自然な」大きさの上限がおよそ 150 人であることがわかっている。ほとんどの人は、150 人を
超える人を親密に知ることも、それらの人について効果的に噂話をすることもできないのだ。
今日でさえ、人間の組織の規模には、150 人というこの魔法の数字がおおよその限度として当てはまる。
…(中略)…
だが、いったん 150 人という限界値を超えると、もう物事はそのようには進まなくなる。
小隊を指揮するのと同じ方法で、一万を超える兵から成る師団を指揮することはできない。
繁盛している家族経営の店も、規模が大きくなり、多くの人を雇い入れると、たいてい危機を迎える。
根本から再編できなければ、倒産の憂き目に遭う。」
― 出典:『サピエンス全史 上:文明の構造と人類の幸福』
― ユヴァル・ノア・ハラリ(著)、柴田 裕之(翻訳)
この「150」という数字は、イギリスの人類学者ロビン・ダンバーが提唱した「ダンバー数」として
広く知られており、「人間が円滑に安定して維持できる関係は 150 人程度である」と主張しています。
さて、皆さんにも「根拠はうまく説明できないけれど、なぜか気になる数字」はないでしょうか?
たとえば、150~200 人規模の組織から「業務がうまく回らなくなった」といった相談を受けた時には、
「コミュニケーションに課題を抱えておられるのでは?」と仮説を持ってヒアリングに臨みました。
また、矢羽根が 6 ヶ月以上引かれている長期プロジェクトは、中間目標の有無やフェーズ分割の
可能性を確認したくなります。大規模なサーバ移行プロジェクトでメンバーが 13~14 人になった頃、
気づけば “進捗だけを確認するマン” と化した自分にハッとし、チーム分割を検討したことも。
こうした行動の背景には、ダンバー数の意識、プロジェクトの熱が冷め始める時期の見極めや、
企業における方針や組織の変更影響が及ぶリスクの低減、あるいはコミュニケーションパス数
(N 人なら N(N – 1)/2 本)が自身の許容量を超えた感覚など、複数の要素が絡んでいます。
(※13人→14人で 78本→91本 (約1.2倍の増)) 最近の潮流では、理想的なチームサイズはもっと小さく、
Scrum では「ミラーの法則」に基づいて「チームの人数は 7±2 人が望ましい」とも言われます。
「違和感のある数字」「超えてはいけない数字」「ここから先は管理が複雑になる数字」…。
これらの数字には、科学的根拠、経験則、あるいは単なる肌感覚といった、さまざまな出所があります。
現場での意思決定や計画策定において、こうした「臨界点となる数字」を自分なりに持っているかどうかが、
先読みの力(※第29回コラム参照)や思考の深さ、手戻りの少なさに大きく関わってくると私は考えています。
「そういう難しいことはわからんわ…。直感(直観)でやってるよ。ひらめきだ。」という天才肌のあなたっ!
実は、あなたのような人こそが、本当に困難なプロジェクトを救うのかもしれません。(※第43回コラム参照)
配信日:2025年6月19日
こちらのお役立ちコンテンツもおすすめ!
Power BI レポート ギャラリー
データ分析や可視化の効果を多くの方々に実感していただくための取り組みです。 レポートのキャプチャではなく、実際にWeb上で操作いただくことが可能。全て無料ですので、ぜひPower BIの可能性をご体感ください!
【Power BI 活用ストーリー】計画未達の原因を探れ!~営業責任者 N氏 の事件簿~ 他2本
上記ギャラリーにある「予実分析」レポートを基に、営業責任者・工場長・商品企画担当の3つの切り口での活用例をストーリー仕立てでご紹介する資料となっております。 Power BI の具体的な「使い方」の例としてご参考ください!
課題やご相談事項等ございましたら下記フォームよりお気軽にお問い合わせ下さい。