【ITコンサルタントがおくるDX推進コラム-空を仰げば-】
第16回:経営インパクトを最大化!”小さなDX”が生み出す大きな利益とは?

第16回:経営インパクトを最大化!”小さなDX”が生み出す大きな利益とは?
いつもお世話になっております。IT コンサルティングサービス部の空井(ソライ)と申します。
DX(デジタルトランスフォーメーション)関連の情報をお伝えさせて頂くコーナーです。
今回は 16 回目。皆様のDX推進の気付きになれば幸いです。
「DXを進めたいが、何から手をつければいいか分からない」、「費用対効果が見えにくい」…。
これまでお客様とお話ししてきた中で、この2つは本当によく聞く言葉です。
確かに、DXは漠然としており、なかなか一歩を踏み出せない経営者も多いことでしょう。
そんな経営者の皆様におすすめしたいのが、バックオフィスDXです。
当コラムでは、最小の費用で最大の効果を生むための、具体的なバックオフィスDXの始め方を分かりやすく解説します。
是非、最後までお付き合いくださいませ。
■DXって何? バックオフィスDXの「本質的な意味」と経営メリット
よくある誤解が、「ITツールを入れることがDXだ」というものです。
もちろんITツールはDXに不可欠ですが、それはあくまで「手段」なのです。
DXとは、デジタル技術を使って、業務プロセスそのものや、企業文化・組織を変革し、競争優位性を確立することを指します。
そして、バックオフィスDXとは、経理、人事、総務といった間接部門の業務をデジタル化するだけでなく、その業務フロー全体を再構築することです。
例えば、紙の経費精算をクラウドシステムに移行するだけでなく、「そもそも申請が必要な項目を減らせないか?」
「承認プロセスをもっとシンプルにできないか?」といった根本的な改善まで踏み込みます。
バックオフィスDXがもたらす具体的な経営メリットは、次のように貴社の利益に直結します。
●残業時間の削減
【例:月間50時間の削減で、年間120万円の人件費削減】
また、従業員は高付加価値な業務に集中できますので、削減分以上の効果も見込めます。
●ペーパーレス化によるコスト削減
【例:印刷代、紙代、保管スペース代といった隠れたコストを年間30万円削減】
さらに環境負荷も低減します。
●情報共有の円滑化
会社全体の経営判断スピードが上がり、市場変化への対応力が向上します。
●従業員満足度(ES)の向上
面倒な定型業務からの解放は、従業員のエンゲージメント向上と離職率低減に貢献します。
■バックオフィスDX、何から始めるべきか? 4つの戦略的ステップ
では、いよいよ実践です。
莫大な投資や複雑なシステム導入から始める必要は全くありません。
まずは、小さな一歩から、戦略的に踏み出しましょう。
ステップ1:現状把握と「最も痛みを感じる」業務の特定
貴社の中で「最も非効率だ」、「コストがかかっている」と感じる業務はどこでしょうか?
●時間と手間がかかる業務
毎月の経費精算、給与計算、勤怠集計、請求書の発行・郵送など。
●ミスが多い業務
手入力によるデータ転記、計算ミスなど、ヒューマンエラーが発生しやすい箇所。
●紙による非効率な業務
領収書、契約書、稟議書など、紙の処理が中心で、リモートワークに対応しきれていない業務。
これらの業務をリストアップし、現在の業務フローを可視化してみてください。
誰が、何を、どれくらいの時間をかけているのかも含めて、ヒアリングで明らかにしていきましょう。
そうすることで、どこに無駄があり、どこを改善すれば最大の効果が得られるかが明確になります。
現場で業務を行う従業員へのヒアリングは、貴社にとっての「宝の山」を見つける最良の手段です。
手間はかかりますが、手を抜かず丁寧にヒアリングしてください。
なお、業務フロー図の作成方法につきましては、「第14回:DXの第一歩は「ムダ」の可視化から! 業務フロー図作成のすすめ」を参考にしてください。
ステップ2:ITによる改善か業務プロセス見直しによる改善かの見極め
無駄な箇所、改善が必要な箇所が見えてきたら、ITツール選定に飛びつく前に”業務プロセス等の見直しだけで改善できないか?”を検討します。
前述の通り「ITツールを入れることがDX」ではないからです。
また、業務プロセス等の見直しだけで課題が解決できるのあれば新たな投資は不要となりますので、投資を抑えるためにも外せないステップです。
ステップ3:課題解決に最適なITツールの厳選
課題が明確になったら、それを解決するITツールを検討します。
ここで重要なのは、「無理のない範囲で、最適なツールを厳選する」ことです。
いきなり全ての業務をカバーする高額なシステムを導入する必要はありません。
例えば、
経費精算が課題なら:クラウド経費精算システム
勤怠管理がアナログなら:クラウド勤怠管理システム
契約書管理が非効率なら:電子契約システム
社内連絡・情報共有が非効率なら:ビジネスチャットツール
現在、中小企業でも手軽に導入でき、短期間で効果を実感できるクラウドサービスが豊富にあります。
ツール選定のポイントは、「貴社の課題解決に合致しているか」、「操作性はどうか(従業員が使いこなせるか)」、「費用対効果はどうか」の3点です。
ステップ4:スモールスタートで導入し、段階的に拡大する
経営者の皆様が最も懸念されるのは、「大きな投資」と「失敗のリスク」でしょう。
しかし、バックオフィスDXは必ずしも多額の投資から始める必要はありません。
まずは最も「痛み」を感じる部署や業務から着手し、小さな成功を積み重ねることで、リスクを最小限に抑えながら着実に成果を出すことができます。
例えば、月間の経費精算業務に平均〇〇時間かかっているなら、まずはその一点に絞ってクラウドシステムを導入します。
そこで得られる時間とコストの削減効果を実感し、その成功を次のステップへと繋げることで、”最小限の投資による最大の効果”を狙うことができます。
なお、ITツール導入時には、事前に従業員へ「なぜDXが必要なのか」、「導入でどう変わるのか」を丁寧に説明し、使い方を教える時間を確保しましょう。
せっかくのITツールも、使い方を間違えると効果が目減りしてしまうことになるからです。
■DX推進は「人」がカギ! 従業員を巻き込む経営者のリーダーシップ
どんなに優れたシステムを導入しても、実際に使うのは「人」です。
DXを成功させるには、経営者の強力なリーダーシップと、従業員の積極的な協力が不可欠です。
●トップのコミットメント
経営者が「DXは本気でやるぞ」という姿勢を見せることが、全従業員の意識を変える第一歩です。
●「何のためにやるのか」の明確化
「面倒な作業を減らして、みんながもっと大切な仕事に集中できるようにするためだよ」といった、従業員にとってのメリットを具体的に伝え、共感を促しましょう。
●成功体験の共有
小さな成功事例を社内報や朝礼で共有し、「自分たちにもできる」という成功体験を積み重ね、他の従業員のモチベーションにつなげましょう。
■まとめ:あなたの会社の未来を変える、今この瞬間がターニングポイント
バックオフィスDXは、決して難しいことではありません。
日々の業務の中にある「もっと良くしたい」という小さな思いから始まり、小さな改善を積み重ねていくことで、大きな変革につながっていきます。
このコラムを読み終えた今が、貴社のDXのターニングポイントです。
ぜひ、貴社のバックオフィス業務で最も「非効率」だと感じる点を一つ、具体的に特定してみてください。
そして、その改善について担当者と議論を始めましょう。
はじめは小さな一歩でも、続ければ貴社の未来を大きく変えることができます。
「進め方は理解できたが、自社単独では進めることが難しい」と感じてらっしゃるのであれば、私たちにご相談くださいませ。
最終的に自社で推進できるよう、伴走支援させていただきます。
配信日:2025年8月19日
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