【BIコンサルタントが語るコンサルコラム】
第50回:速さと早さ
第50回:速さと早さ
いつもお世話になっております。IT コンサルティングサービス部の長榮(ナガエ)と申します。
システム構築・IT・業務改善・業務改革に関する情報や、業務において日々感じていることを、
この場をお借りしてお話しするコーナーです。今回は 50 回目。
ノーベル賞受賞者ダニエル・カーネマンによる行動経済学の名著「ファスト&スロー」は、
人間の思考を「速い直感的思考(システム1)」と「遅い論理的思考(システム2)」に分類し、
私たちがいかに判断ミスや認知バイアスに陥りやすいかを示しています。
「記憶にはまた、私たちが生まれてこのかた習得してきた幅広いスキルも蓄えられており、
直面した難問に対して自動的に的確な解決を示してくれる。
…(中略)…
こうしたスキルを習得するには、安定した環境と練習や実践を繰り返す機会が確保され、
それに対して迅速かつ明快なフィードバックが得られることが望ましい。
こうした条件が満たされていれば、スキルは開発され、身につき、ぱっと思い浮かぶ直感的な判断や選択の大半が的確なものになるだろう。
これらすべてはシステム1の働きによるため、自動的かつ瞬時に行われる。
膨大な情報をすばやく効率的に処理できる能力は、高度なスキルが身についていることの証と言える。」
― 出典:ファスト&スロー(下) あなたの意思はどのように決まるか?
― ダニエル・カーネマン (著)
カーネマンは、習熟したスキルを得るには、繰り返しの練習と適切な環境が不可欠だと説きます。
私が現場で学んだのは「速さ(fast)」だけでなく「早さ(early)」も重要だということでした。
若い頃、「トロいのぉ…、いつまで掛かるねんっ!」と、お客様や先輩に何度も言われました。
「急いで」と言われたら “当日中” が暗黙のルール。「そんなに急ぎじゃないよ」と言われても、
それは実質 “明日までには何らかのレスが欲しい” という優しさを含んだプレッシャーです。
そんな環境で育った私は、作業を速くすることばかりを考えていました。
プログラミングやテスト、調査資料づくりに追われる日々の中で、自ら試行錯誤するだけでなく、
仲良くなった先輩の横で作業をじっと見ては、「今、何しました?」と聞いて手業を盗みました。
時には、歴代の猛者が集い継ぎ足した “秘伝のタレ” 的な「コマンド集」を授かることもあり、
それを活用すると、効率が格段に上がったり、急なトラブルにも瞬時に対応できたりするのです。
自動化、テンプレ化、ショートカット、正規表現、置換処理、辞書登録など、どれも小さな工夫ですが、
使いこなせるようになると作業がサクサク進むようになり、正確さをも底上げしてくれます。
しかし、いくら手を速く動かしても、「仕事が遅いっ!」と怒られることがあるのです…。
理由は大きく 2 パターン。どちらも出来ていないと、チームやお客様を待たせることになります。
1. 単純に手が遅い
→ 一人で抱え込むと限界があり、速さでは得意な人に到底敵わない。才能の壁を痛感します。
2. 判断が遅い・段取りが悪い
→ 迷いが多く、先を読めておらず、組み立てが甘い。この方が実は致命的で、信頼に直結します。
そこで私が意識するようになったのが、「速く(fast)」と「早く(early)」を同時に鍛えることです。
・速く(fast):作業を素早く正確に行い、瞬時に判断・処理できる技術。
・早く(early):期限前に準備し、先読み・先回りで能動的に(proactively)行動する習慣。
“先読み” については以前のコラム(※第29回参照)でも、「日々の心掛けで身に付くよ」と触れました。
例えば、納期前に一旦完成させておくと、お客様から突然の追加要望が来ても慌てずに対応できます。
また、あえて未完成の状態で一度ぶつけてみることで、お客様との認識ズレを早期発見できます。
他にも、次の会議で挙がりそうな話題を先回りして調査しておくことで、即答できる準備ができます。
システム導入前には、起きそうな問題を想像し、想定される問い合わせをまとめて用意しておきます。
この両方を意識することで、仕事の質は確実に上がります。
何より、お客様に「安心感」という価値を提供でき、信頼が着実に積み重なっていくのです。
反復練習で手を鍛え、先読みで頭を鍛える。これが、私なりのハイブリッド型アプローチです。
配信日:2026年1月15日
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