三井住友海上エイジェンシー・サービス株式会社様

Microsoft 365・Power Apps導入事例 Microsoft 365を活用した入退社情報登録システムと社内ポータルサイトの構築

三井住友海上エイジェンシー・サービス株式会社様
業種:金融・保険
従業員数:31~100名

POINT 事例のポイント

  • Microsoft 365のPower Appsを活用したアジャイル開発によるシステム構築
  • Microsoft 365と他のクラウドサービスとのCSVファイルでのデータ連携の円滑化
  • 全国に分散した拠点への総合的な情報伝達ツールとしての社内ポータルサイトの構築
  • システム構築後も、定期的に相談を受けられる定額運用支援サービスを導入

課題・ご要望

  1. 入退社情報の登録作業にかかる担当者の業務負荷を大幅に軽減したい
  2. 直資代理店の統廃合、各社の支店の新規出店・統廃合、頻繁なクラウドサービスの更新に対応する手間を省きたい
  3. 時間や場所を問わず、直資代理店の全社員が閲覧できる情報伝達ツールがほしい

導入・効果

  1. 入退社情報登録の業務負荷が10分の1程度までに激減
  2. クラウドサービス更新時の対応が柔軟にでき、Share Pointリストの活用によりセキュリティレベルも確保した
  3. 直資代理店の社員全員に対し、情報を伝達するのが容易になった

Microsoft 365・Power Platformに関するお問い合わせ

電話で問い合わせする
(平日9:00~17:00)

PROFILE お客様情報

三井住友海上エイジェンシー・サービス株式会社様
業種:金融・保険
従業員数:31~100名
ご担当者様:
直資経営管理部 課長 有原 淳 様

三井住友海上火災保険株式会社が100%出資する子会社。全国に12社ある同社の直接出資による損害保険代理店(直資代理店)に対する教育研修および経営指導・支援などの役割を担う。主な業務として、給与計算、人事、経理・決算システムなどを統合して共有するバックオフィスのシェアードサービスを行っている。

PROBLEM 課題・ご要望

全国の直資代理店12社の総社員数はおよそ1300名。三井住友海上エイジェンシー・サービス株式会社様は、クラウドサービスを用いたシェアードサービスにより、それら代理店のバックオフィス業務の効率化を図っています。これまで以上に有効な活用を念頭に進められた今回のMicrosoft 365をベースとしたシステム構築。その背景と課題、そして成果について、直資経営管理部の有原淳様に伺いました。

非常に煩瑣だった入退社情報の登録にともなうメールのやりとり

Microsoft 365ベースのシステム構築を委託された背景を教えていただけますでしょうか?

三井住友海上火災保険株式会社の直資代理店は、2019年度に損保クラウド(Microsoft 365 をベースとした損害保険代理店向けのクラウドサービス)を導入しました。また、当社では、給与・会計関係ではfreee、人事・勤怠管理ではjinjerというクラウドサービス、そして直資代理店の社員同士の連絡ツールとしてLINE WORKSを使っています。
現在、直資代理店は12社(2022年3月時点)ですが、2020年当時は25社ありました。事業所数は116カ所、社員数は約1300名でした。そのような状況ですと、例えば新しく社員が入社した際は、給与・会計、人事・勤怠、福利厚生などのシステムのアカウントをすべて登録するわけですが、その作業にとても手間がかかっていました。そのため、Microsoft 365を利用して新たに入退社システムを構築し、もっと業務を効率化できないかと考えるようになりました。

もともとはどのような状況だったのですか?

アンケートシステムで入退社情報を収集していたのですが、設問項目が少ないために、必要な情報がそろわず、他にも社員番号の採番連絡、希望のメールアドレスの調整など、アンケート受領後にメールのやりとりをしなければなりませんでした。そのメール数が非常に多く、労力がかかっていたのです。当社は社員数が30名程度の会社ですから、登録業務にそれほど多くの担当者を割けません。1人の担当者にかかる業務負担はとても大きくなっていました。

弊社(カコムス)のサービスは、どのようなきっかけでお知りになりましたか?

カコムスさんが主催するPower Appsのオンラインセミナーに参加したのがきっかけです。カコムスさんはMicrosoft 365のPower AppsやPower BI等のPower Platformに詳しい会社だという印象を持ちました。外部発注の際、2社を比較したのですが、Microsoft 365に関するノウハウの蓄積が非常に豊富だということで、カコムスさんにサポートをお願いすることにしました。​

EFFECT 導入・効果

アジャイル開発によるシステム構築

入退社情報登録システムは、どのように構築されていったのですか?

2020年6月に当社がRFPを提示して発注し、プロトタイプができたのが10月ころです。それを試しながら修正していく、いわゆるアジャイル開発のような方法で構築していきました。プロトタイプの段階でほぼ遜色がなく、最終的に各クラウドサービスに登録するCSVファイルのフォームは入社用13種類(現在15)、退社用5種類(現在6)のテストを完了し、翌年2月には運用を開始できました。

入退社情報登録システムにより情報の入力項目が従来の約2倍の70項目くらいに増えたので、アンケートシステム方式のときのような事後のメールのやりとりは激減しました。
これはPower Appsを活用した社員番号自動採番機能、エラーチェックの充実とPower Automateを活用したメールの自動返信機能を持たせたことも大きいですね。

入退社情報の登録や取り消し、修正をしたときなど、その段階で連絡メールが自動で送信されるのです。この機能があると、単純な入力漏れ、連絡漏れのようなミスや、追加で確認メールを送るような手間もなくなりますね。

従来は、特に直資代理店からの登録内容の照会やデータ訂正の作業が大変でした。例えば、社員番号は、手作業で採番しメールで連絡していました。直資代理店の総務部だけでなく、実際に新入社員が配属される支店でも必要な情報であるため、度々照会がありました。また、データ訂正のため同一の新入社員について総務部、支店から一部齟齬のあるデータが複数回送付されたこともありました。Power Appsにより社員番号は即時自動採番され、直資代理店の担当者、当社が常に最新の情報を共有できるため、業務効率化につながったと思います。

また、運用支援サービスの活用により、入力漏れ・ミスの未然防止や人事制度改定に伴う入力項目・エラーチェックの改定にも随時対応いただいており、非常に助かっていますね。

入退社情報登録システムで、業務効率はどれくらいアップしましたか?

厳密な数値化をしているわけではありませんが、登録業務(画面での手入力)、直資代理店からの各種照会やデータ訂正で言えば10分の1くらいにはなっている感触があります。おそらく、新入社員の登録、退職者の削除業務全体でもそれくらいは効率化しているのではないでしょうか。
入力漏れやミスが大幅に減りましたし、作業がしやすくなった分、直資代理店・当社問わず、どの担当者も業務に集中できる環境づくりに貢献できたと思っています。

クラウドサービスの更新への対応

クラウドサービスでは、freeeやjinjerも使われているとのことですが、Microsoft 365との連携で工夫された部分はありますか?

データ連携はCSV形式のファイルで行っていますが、クラウドサービスの更新時の対応もずいぶん楽になりました。クラウドサービスはCSV形式のフォームの更新が頻繁で、細かな仕様や画面構成がよく変わるので、従来はその対応にも困っていました。
Microsoft 365の更新も頻繁なので、柔軟に対応できる良い方法があれば提案してほしいとカコムスさんにもリクエストをしていました。その際、Power BIを使えば、Power Appsの画面を変更することなく、フォームの更新に対応する細かな編集ができるという提案をカコムスさんから受けました。
また、データの格納先としてShare Pointリストを使うと、社外への人事情報の情報漏えいリスクへの懸念はなく、データへのアクセスを制限できるので、情報セキュリティが確保されるというアドバイスもカコムスさんから受け、どちらも非常に良い提案だと思いました。

Microsoft 365のより有効な活用を前提にした社内ポータルサイト構築

もうひとつの社内ポータルサイト構築は、どのような課題から導入されたのですか?

損保クラウドを導入した当初はストレージサービス、つまりファイル共有システムの統一から始めました。直資代理店への情報提供は、全直資代理店共通のドキュメントライブラリを作成し行ってきましたが、メールに添付されるリンク先として活用され、各社の担当者からメールで社員に周知してもらうようになっていました。しかし、それではなかなか情報が伝わりにくいことがわかってきたので、もっと一体感をもってタイムリーに全社に情報伝達ができるようにしようと、社員が個々にいつでも閲覧できる社内ポータルサイトの構築を考えました。

社内ポータルサイトの工夫された運用

作成と運用にあたって重視した点はありますか?

こちらも当社からRFPを提示しました。当初、Microsoft 365の拡張機能(アドオン)を活用して、Microsoft 365へサインイン後、直ぐに当社トップページへ遷移する、利用者の所属に応じた各社ページを表示する機能などのご提案頂きました。RFP以上の素晴らしいご提案でしたが、アドオン機能を利用すると一部の情報が損保クラウド外に流れてしまう等の情報セキュリティ上の課題がありこの案は採用できなくなりました。

そこで改めて、SharePoint Onlineの標準機能(モダンもしくはクラシックUI)のカスタイマイズによるご提案をカコムスさんにお願いしました。 結果、クラシックUIのカスタマイズを行いRFPで求めていた機能要件を満たすご提案を頂き、採用させていただきました。

例えば、業務連絡発信・作成機能ですが、当社から直資代理店全体に向けて発信する連絡や各社が自社内へ向けて発信する連絡のそれぞれについて、期日管理やコンテンツの作成を特別なスキルを必要とせず、実現できるご提案でした。また、直資代理店の営業は、外出していることが多いので、スマートフォンでも閲覧できることが重要でした。Microsoft 365のポータルサイトは、PC用のコンテンツがそのままスマートフォンでも違和感なく閲覧できるご提案でした。

社内ポータルサイトの構成で重視したのは一体感です。直資代理店共通の営業施策へのリンク(アイコン)を並べて配置し、サイドバーには、三井住友海上の代理店システムを始めとし、Outlook、勤怠管理、会計・給与・福利厚生サービス・入退社情報登録システムなど各システムのリンクを配置しました。中央に当社から発信する業務連絡を掲載しており、一体感のある社内ポータルサイトになったと考えています。
2020年12月にリリースを行い、約1年で100件を超える業務連絡を発信しています。

FUTURE 今後の展望

Microsoft 365のさらなる活用とAPI連携

今、考えている今後の展望についてお聞かせください。

今回の入退社情報登録と同じように、メールのやりとりが多い業務に異動情報の管理があります。これをMicrosoft 365のシステムに替えられないか考えています。また、Microsoft 365と他のクラウドサービスとのデータ連携は、今はCSV形式のファイルで行っていますが、今後はAPI連携も活用する方向になっていくと思われます。近い将来、Microsoft 365が他のクラウドサービスと自動連携するハブシステムのようになるのではないかと期待しています。社内ポータルサイトでは、Streamを活用してお客様本位の保険募集の方法、個々の募集人が持つノウハウの共有など、社員自ら研修ができるようなオンラインツールも入れていきたいですね。

当社は、カコムスさんの定額運用支援の保守サポートサービスも利用していますが、Microsoft 365の活用に向けた助言・設定支援、入退社情報登録システム・社内ポータルサイトの改定にタイムリーに対応頂いています。Microsoft 365のサービスも日々変化を遂げていますので、当社だけでは調べきれず、対応仕切れない部分もあります。
また、冒頭に説明させていただきましたように、2020年は直資代理店が25社あったのですが、今は12社になり、集約されています。各社の支店の新規出店・統廃合にも対応する必要があります。
当社のようにシェアードサービスを行う会社にとって、カコムスさんの保守サポートサービスは欠かせません。カコムスさんを今後もパートナーとして、Microsoft 365をより有効に活用していきたいと思っています。

担当より一言

三井住友海上エイジェンシー・サービス株式会社様から今回のご依頼をいただいた当時、ローコード開発のプラットフォームであるPower Appsでの開発実績はそれほど多くありませんでした。三井住友海上エイジェンシー・サービス株式会社様からのご依頼によって、Microsoft社とやりとりをし、PoC(プロトタイプ)を作成して三井住友海上エイジェンシー・サービス株式会社様のご協力も得ながら、一緒にシステムを構築していきました。ローコードのPower Appsを活用したシステムは今後の主流になると思われますので、今回のMicrosoft 365構築サービスは、その先駆けのひとつになったととらえています。三井住友海上エイジェンシー・サービス株式会社様の業務効率化の一助になれたことを非常にうれしく思っております。今後とも運用支援サービスを含め、さまざまな点でお力になれれば幸いです。

(インタビュアー:サイトエンジンかくたま編集部)

Microsoft 365・Power Platformに関するお問い合わせ

電話で問い合わせする
(平日9:00~17:00)