【Power BI活用ストーリー】
計画未達の原因を探れ!─ 営業責任者 N 氏の事件簿 ─
計画未達の原因を探れ!─ 営業責任者 N 氏の事件簿 ─
はじめに
昨今、データドリブン経営の実現を目指して Power BI を導入する企業が増えています。
しかし、Power BI はあくまでデータを可視化するための「道具」。本当に大切なのは 「どのように使い、何を実現するか」 という使い方と目的です。
本コラムでは、とある食品メーカーの営業責任者 N氏 が Power BI を駆使し、売上計画未達の原因を突き止めていく一連のプロセスを、ストーリー仕立てでご紹介します。
なお、本コラムで使用している Power BI レポートは、 Power BI レポートギャラリー に公開しております。
ご自身で操作もできますので、是非ご覧ください。
本ストーリーで登場する分析手法
①ドリルダウン
データの集計レベルを一段ずつ掘り下げ、集計項目をさらに詳細にしていく操作。
例:国別 → 都道府県別 → 市町村別
②ダイシング
複数の集計軸を入れ替えてデータを集計する手法。縦軸と横軸の項目を入れ替え、違った角度から分析する。
例:商品 × 月度 → 商品 × 地域
第1章 事件発生!このままでは売上計画が達成できない
カコムス食品株式会社の営業責任者・N氏は、最近導入した Power BI レポートのダッシュボードを見て、マウスを動かす指がぴたりと止まった。
「まずい、このままでは売り上げの計画未達は確実だ……!」
今期も残すところ あと2ヵ月。にもかかわらず、売上実績は 対計画 74% の達成率 ―― 動揺を抑えつつ、N氏は Power BI を片手に原因究明に乗り出した。
第2章 売上をドリルダウンで深掘りする
STEP 1 ── どのカテゴリで未達なのか?
予実分析レポートのTOP画面(ダッシュボード)の「予実差異」棒グラフを確認すると、大分類 「乳児・幼児用」 の売上が 対計画 ▲163百万円 と大幅未達になっていることが判明しました。
さらにドリルダウンして内訳を確認したところ、「粉ミルク」 の売上未達が最も大きいことが浮かび上がってきました。
STEP 2 ── 数量は出ているのに、なぜ売り上げが足りない?
表の「売上達成率」を見ると、「粉ミルク」は約62%、「液体ミルク」は約65%と、ほぼ同水準。一方で 「数量達成率」 は、粉ミルクが約79%、液体ミルクが約66%と、粉ミルクの方が13%も高いことがわかりました。
N氏の疑問
「粉ミルク」の販売数量と販売金額が比例していない。数は出ているのに、なぜ売上が足りないのだろう?
STEP 3 ── 単価に注目し、仮設を立てる
「単価の予実差異」を確認すると、粉ミルクは ▲596円(達成率 約80%)、液体ミルクは ▲161円(達成率 約97%)。粉ミルクの販売単価が計画よりも大幅に落ちていることが判明します。
N氏の仮設
「粉ミルク」の値引き販売が、売上未達の要因では?
STEP 4 ── さらに掘り下げて、ピンポイントの商品を特定
さらに粉ミルクをドリルダウンすると、「バランスミルク」の売上未達が最も大きく、単価も約65%まで下落していることがわかりました。どうやら「バランスミルク」に要因がありそうです。
N氏は切り口を替え、「単価・数量分析」レポートで「バランスミルク」の状況をさらに確認することにしました。
第3章 ダイシングして「バランスミルク」の単価・数量をみる
STEP 5 ── 軸を入れ替えて、異常値の発生時期を探す
縦軸に「販売単価要因」、横軸に「販売数量要因」を配置した月別マトリックス表を確認すると、6月に大幅な値引き販売があったことが浮かび上がりました。
N氏の疑問
担当者は誰だろう?
STEP 6 ── 担当者を特定し、行動へ
「担当者別」レポートを開くと、6月の「バランスミルク」の営業担当者は関根氏であることが判明しました。
N氏は早速スマホを取り出し、関根氏をコール。「バランスミルク値引き販売事件」の真相を探り、共に対策案を検討するために――。
─ つづく ─
一方、こちらは同社『お菓子』部門の工場長・F氏。来期の生産計画を検討するために、彼もまた Power BI レポートを開いた……。
おわりに ── BIは「使い方」が成果を決める
Power BI は、このストーリーのように 「ドリルダウン」 や 「ダイシング」 といった分析手法を駆使し、情報の解像度を上げて原因を突き止めることができるツールです。
こうした「使い方」を想定して Power BI レポートを設計することこそが、データドリブン経営を成功に導く鍵になります。
本コラムが、皆さまの BI 活用の一助となれば幸いです。
配信日:2026年06月08日
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