【BIコンサルタントが語るコンサルコラム】
第35回:そのファイルを消したのは私です
第35回:そのファイルを消したのは私です
いつもお世話になっております。IT コンサルティングサービス部の長榮(ナガエ)と申します。
システム構築・IT・業務改善・業務改革に関する情報や、業務において日々感じていることを、
この場をお借りしてお話しさせて頂くコーナーです。今回は 35 回目。
これまでの業務における最も大きな失敗は、お客様の Web サーバを落としてしまったこと。
多くの商品カタログを公開・問合せを受け付ける重要な外部公開サイトが数時間ダウン。
原因は、保守作業中に誤って死活監視用(ヘルスチェック)ファイルを削除してしまった為でした。
発生当初は原因不明。謎の障害に慌てる周囲。「ひょっとして私…?」クビを覚悟した瞬間です。
「しかし、ビジネス、政治、航空、医療の分野のミスは、単に注意を怠ったせいではなく、
複雑な要因から生まれることが多い。その場合、罰則を強化したところでミスそのものは減らない。
ミスの報告を減らしてしまうだけだ。不当に非難すればするほど、あるいは重い罰則を科せば科すほど、
ミスは深く埋もれていく。すると失敗から学ぶ機会がなくなって、同じミスが繰り返し起こる。
その結果、さらに非難が強まり、隠蔽体質は強化される。」
― 出典:失敗の科学
― マシュー・サイド(著)
本件は、アプリ担当として、後日控えるサーバ移設に向けた準備中に意図せず発生した事件でした。
開発環境・本番環境・手元の資料(フォルダ構成図)を見ながら、一致しているハズの 3 つを
チェックしていたのですが、本番環境のみに”ちょこん”と存在する、開発環境にも資料にも
記載の無い謎のフォルダ配下を、”不要なもの”と認識してしまったのです。深く考えもせずに…。
普段なら当然あるインフラ部隊からの死活監視導入の連絡や説明は無く、私を含めたアプリ部隊には、
認識も理解もありませんでした。
さて、当時(15年以上前)の私の失敗の結末は…。
顛末書の提出を求められ、直属の上司とヒィヒィ言いながら作成・提出した記憶があります。
厳重注意を受けましたが「処罰を受ける」「厳しく叱責される」などはありませんでした。
(※私が知らないだけで、裏で上司は怒られていたのかもしれません。ご迷惑をお掛けしました。)
特筆すべきは、お客様の中で、即時”仕組みの見直し”に着手されたこと。
「そもそも、作業員が簡単に消せるような置き場所や権限にしているってどうなの?」や、
「インフラ部隊からアプリ部隊へ導入連絡や説明はしっかりできていたのか?」など、
インフラ設計や運用の見直し・周知徹底が行われたのでした。
意識することもなく、自然と問題が起きないように防ぐ仕組みを作ることは重要ですね。
また、前もって失敗のシナリオを考えておき、リカバリーできる程度のリスクとして
管理しておくことも重要になってきます。何でも完璧にこなせる人はいないのですから。
また、あの当時に滅茶苦茶に怒られていたら、今の私は無かっただろうな…と思います。
最後に別の書籍からの引用も載せておきます。
「どれほど技術を持った人間でも、どれほど良く計画され実行されるプロジェクトでも、
複雑で創造的な仕事においては問題や失敗は避けられない。
(…中略…)
失敗から学び前進する能力は、心理的安全性によって特徴づけられる組織風土のなかで
遥かに多く目撃される傾向にある。心理的安全性とは、失敗を避けることよりも、
失敗を認めたり指摘することを社員に奨励するリーダーたちの言葉や行動から醸成された
共通認識のことだ。心理的に安心できる雰囲気のなかでのみ、真に革新的な仕事を実行
するのに必要なリスクを取ることができるのだ。」
― 出典:マネジャーの最も大切な仕事 ~95%の人が見過ごす「小さな進捗」の力
― テレサ・アマビール(著)、スティーブン・クレイマー(著)
配信日:2024年3月15日
ITコンサルティング活用事例インタビュー
株式会社エイワハウジング様
部門間連携と情報の精度を高めるルールづくり・定着化
組織内の業務連携プロセスに課題を抱えておられました。顕在化していた課題の根本原因は何か。本質的な課題の整理とその解決施策の立案をご支援させて頂きました。
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