【ITコンサルタントがおくるDX推進コラム-空を仰げば-】
第4回: 便利で高価なITツールを買ったが、上手く使えず…

第4回: 便利で高価なITツールを買ったが、上手く使えず…

いつもお世話になっております。IT コンサルティングサービス部の空井(ソライ)と申します。
DX関連の情報をお伝えさせて頂くコーナーです。今回は 4 回目。
皆様のDX推進の気付きになれば幸いです。

経費精算ツールを社内に導入した経理部Aさん。
苦労して導入に持ち込みホッとしたのも束の間、運用を始めたら面倒なことが発生しました。
従業員の入退職が頻繁に発生するため、経費精算ツールの利用者マスタの設定変更が思いのほか業務負荷になり、 せっかく仕事が楽になるはずだったのに以前よりも忙しくなってしまったのです。
なぜこんなことになってしまったのでしょうか…

1. 運用ルールを決めておく
経理部Aさんの失敗は、運用ルールの設計を疎かにしたことが原因です。
ITツールを選定する際には、つい機能や費用ばかリに注目してしまいますが、 『どのように運用するのか』を明確に設計(イメージ)したうえで選定しましょう。
この運用の中で最も重要なのは「マスタ」のメンテナンス運用です。
「マスタ」とはマスターデータのことで、社員のコード、氏名、所属などの情報をまとめている「社員マスタ」や、 組織情報(部・課・グループなど)をまとめた「組織マスタ」などを指します。
これら「マスタ」は、どのようなシステム・ITツールでも共通して取り扱う情報で、 当然ながら情報の内容が最新化されていなければなりません。
しかし、昨今様々なクラウドのITツールをバラバラに導入する傾向にあり、 各ツールのマスタメンテナンスも個別で管理することが多いと思います。
業務の効率化、情報の正確性を担保するためにも、マスタメンテナンスなどの運用ルールを事前に決めておくことは、 ITツール導入成功の鍵となります。

事前に決めておくべき運用ルール例
・マスタのメンテナンス
・ワークフロー(社内決裁基準)のメンテナンス
・操作ログの確認・調査
・システム停止時の代替策

2. 運用ルールを見直す
また、ツール導入後の運用見直しも大切です。
運用を続けている内に当初の運用ルールでは非効率になるといった弊害が出てくることがあるからです。
運用ルールを守ることが目的にならないようにするためにも、 定期的に運用ルールを見直すことを、業務の年間スケジュールに盛り込んでおきましょう。
失敗から学び適切な改善を行うことが、ITツールを上手く、効果的に使う秘訣です。

私は、常々『ITツールは自動車に似ている』と思っています。
高性能なF1カーを走らせるためには、適切な運転技術がなければならないように、 ITツールも運用ルールがなければその性能を十分に発揮することができません。
便利で高価なITツールが宝の持ち腐れにならないよう、自社に合った運用ルールを設計・運用し、 上手に乗りこなしていきましょう。
みなさんが経理部Aさんの二の舞にならないことを祈ります。

配信日:2024年2月22日

空井 達也 / Tatsuya Sorai
応用情報技術者

大手電機メーカーのグループ子会社にて、人事・総務・経理・法務などの管理部門業務に約20年間従事。 給与計算・社会保険の実務を経験し、管理部門業務のプロセス改善やシステム化による改善を実施。 2015年にカコムス株式会社へ入社し、経営管理部の責任者として管理部門全般を統括。 その後品質保証室にてマネジメントシステム (ISMS、PMSなど) の運用改善を推進し、2019年より IT コンサルティング案件に従事。

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