【ITコンサルタントがおくるDX推進コラム-空を仰げば-】
第7回:費用対効果の算出に使う「人件費」の正しい計算方法

第7回:費用対効果の算出に使う「人件費」の正しい計算方法

いつもお世話になっております。IT コンサルティングサービス部の空井(ソライ)と申します。
DX関連の情報をお伝えさせて頂くコーナーです。今回は 7 回目。
皆様のDX推進の気付きになれば幸いです。

業務改善や業務改革において、ITシステムやツールを導入する場合、費用対効果を算出することが重要です。
費用対効果とは、導入にかかった費用に対して得られた効果や利益を評価する指標です。
この指標はいくつかありますが、一般的に使われるのは「単純投資回収期間」と呼ばれる指標で、以下の式を使用します。

 単純投資回収期間 = 導入費用 / 効果金額

単純投資回収期間が短いほど、投資が早く回収できることを示し、一般的には費用対効果が高いと考えられます。

■費用対効果を算出する際のポイント
費用対効果を算出する際には、効果金額に適切な人件費を算出することが重要です。
この人件費には、給与や賞与だけでなく、事業主負担の社会保険料も含まれます。

■改善効果を試算する際の「人件費」の算出方法とは?
1. 人件費とは何か?
人件費とは、会社が従業員に支払う給与や賞与、福利厚生費などの総称です。
しかし、単純に給与や賞与の合計額を人件費と考えるのは誤りで、人件費には、会社が従業員のために負担する社会保険料も含まれます。

2. 社会保険料とは?
社会保険料とは、健康保険料、厚生年金保険料、介護保険料、労災保険料、雇用保険料などの総称です。
これらの保険料は、従業員の健康や生活を保障するために必要なものです。

3. 事業主負担の社会保険料とは?
社会保険料のうち、健康保険料、厚生年金保険料、介護保険料、雇用保険料は、事業主(会社)と従業員が折半負担しています。
労災保険料は、事業主のみが負担します。

4. 人件費の算出方法
人件費を算出するには、以下の式を使用します。
 人件費 = 賃金の支払い額 + 事業主負担の社会保険料
賃金の支払い額とは、従業員に支払う給与や賞与の合計額です。

事業主負担の社会保険料は、以下の式で算出できます。
 事業主負担の社会保険料 = 賃金の支払い額 × 社会保険料率
社会保険料率は、会社によって異なりますが、給与の約15~16%程度が目安となります。

5. 具体的な計算例
以下は、具体的な計算例です。

 賃金の支払い額:1,000万円
 社会保険料率:15%
 人件費 = 1,000万円 + (1,000万円 × 15%) = 1,150万円

■まとめ
人件費を算出する際には、給与や賞与だけでなく、事業主負担の社会保険料も含まれることを忘れずに。
費用対効果を算出する際にも、正しい人件費を使用することが重要です。

配信日:2024年6月28日

空井 達也 / Tatsuya Sorai
応用情報技術者

大手電機メーカーのグループ子会社にて、人事・総務・経理・法務などの管理部門業務に約20年間従事。 給与計算・社会保険の実務を経験し、管理部門業務のプロセス改善やシステム化による改善を実施。 2015年にカコムス株式会社へ入社し、経営管理部の責任者として管理部門全般を統括。 その後品質保証室にてマネジメントシステム (ISMS、PMSなど) の運用改善を推進し、2019年より IT コンサルティング案件に従事。

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