【ITコンサルタントがおくるDX推進コラム-空を仰げば-】
第2回: 現状を知らずして、効果を語るべからず

第2回: 現状を知らずして、効果を語るべからず

いつもお世話になっております。IT コンサルティングサービス部の空井(ソライ)と申します。
DX関連の情報をお伝えさせて頂くコーナーです。今回は 2 回目。
皆様のDX推進の気付きになれば幸いです。

経費精算ツールの資料には「作業時間が3分の1に!」という驚きの数字が、
導入効果として記載されています。
しかし、これは本当にあなたの会社に当てはまるのでしょうか?
「作業時間が3分の1」という数字は、一見魅力的に見えますが、
それはどのような前提で計算されたのでしょうか?
自社の業務プロセスや規模によって、実際の効果は大きく変わるものです。
3,000時間の作業が1,000時間になるのと、30時間の作業が10時間になるのでは、
節約できる時間やコストは全く異なります。
あたなの会社では、どちらに近いのでしょうか。

自社業務のデジタル化による効果を正しく評価するには、現状の業務プロセスにおける工数(作業時間)を正確に把握することが大切です。

1. 現状業務フロー図の作成
まず、対象となる業務プロセスを明確にするため、業務フロー図を描きます。この現状業務フロー図は、デジタル化の効果を見極めるための基礎となるものなので、時間がかかるとしても丁寧に描くことが重要です。
なぜなら、工数を計測・把握するためには、始まり(スタート地点)と終わり(ゴール地点)を明確に定義する必要があるからです。

2. 工数の計測
次に、実際にその業務を行い、ストップウォッチなどで業務にかかった時間を計測します。ただし、バックオフィス部門の業務プロセスの場合は、生産現場における標準時間の設定とは異なり、秒単位での計測は必要ありませんので、5分単位ぐらいで時間を記録するのがよいでしょう。

3. フェーズ毎の工数記録
また、工数の記録は業務プロセス全体ではなく、ある程度分割したフェーズ毎に記録するのがよいです。
例えば、申請者が経費使用申請書を作成する→承認者が承認する→承認者が経理担当者へ書類を送る→経理担当者が申請内容を確認する→経理担当者が会計システムに仕訳情報を登録する・・・
このようなフェーズ毎に時間を把握しておきましょう。

4. 改善効果の見積り
完成した現状業務フロー図から、デジタル化によって工数を省略(短縮)できるフェーズを洗い出し、そのフェーズにかかっていた工数を合計することで、自社におけるデジタル化の効果が導き出されます。

デジタル化による効果の数値化、定量化は、適切なITツールの選定のためだけでなく、経営層や他部門の従業員に納得してもらうためにも効果的です。
まずは現状を知ることから始めましょう。
業務プロセス、課題、そして工数を明確にすることが、「失敗しないバックオフィスDX」の近道なのです。

配信日:2023年12月22日

空井 達也 / Tatsuya Sorai
応用情報技術者

大手電機メーカーのグループ子会社にて、人事・総務・経理・法務などの管理部門業務に約20年間従事。 給与計算・社会保険の実務を経験し、管理部門業務のプロセス改善やシステム化による改善を実施。 2015年にカコムス株式会社へ入社し、経営管理部の責任者として管理部門全般を統括。 その後品質保証室にてマネジメントシステム (ISMS、PMSなど) の運用改善を推進し、2019年より IT コンサルティング案件に従事。

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